令和二年度春から本格稼働する袋井市の「幼小中一貫教育」。
子どもたちをどのように導いていくのか、12年間の教育プログラムについて解説します。
「自立力」「社会力」を育む5つの視点
12年にわたる幼小中一貫教育の目的である「夢を抱き、たくましく次の一歩を踏み出す15歳」の育成。
目的達成に必要な「自立力」「社会力」を育むうえで、袋井市は5つの視点を掲げています。
- 「生活習慣」の定着
- 「学びに向かう力」の育成
- 「考える力(思考力・表現力)」の育成
- 「基礎学力」の定着
- 「自己有用感・自己肯定感」の育成
2つのプログラムと4つのカリキュラム
これら5つの視点で子どもたちを指導していくため、袋井市では大きく2つの教育プログラムと、プログラムを構成する4つのカリキュラムを設けました。
1.就学前教育・幼小接続プログラム
幼児教育から小学校1年生の5月までのプログラムです。
小学校からの学習の土台をつくる「就学前教育カリキュラム」、幼稚園での学びを小学校での学びにつなげる「幼小接続カリキュラム」の2つのカリキュラムで構成しています。
1-1.就学前教育カリキュラム
3~5歳の間に、大きく3つのことを身に付けていきます。
①「生活習慣」の定着
自分のことは自分でできる、をめざします。
トイレを自分で済ませたり、お友達と仲良く遊んだり、あいさつや返事ができるようにするなど、生活の基本となることを身に付けます。
②「学びに向かう力」の育成
みんなと頑張れる、をめざします。
興味のあることにすすんで取り組んだり、誰かとそのことを話したり、みんなで一つのことに挑戦するなど、社会と自分との関わりの基本を身に付けます。
③「考える力(思考・表現の基礎となる力)」の育成
考える、やってみる、をめざします。
試したり、調べたり、話したり。さまざまな体験を通じて、考える力、考えたことを表現する力を養います。
1-2.幼小接続カリキュラム
幼児期の学びを、小学校の学びにつなげるためのカリキュラムです。
「学びの芽生え」から「自覚的な学び」へと導きます。
小学校入学前の「アプローチカリキュラム(年長9月~3月)」と、入学後の「スタートカリキュラム(小学校1年の4月~5月)」の2つのカリキュラムが、小学校生活へのスムーズな移行を促します。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」をめざして
袋井市では、「生活習慣」「学びに向かう力」「考える力」を10の項目に分け、目標として掲げています。
2.小中一貫教育プログラム
小・中学校の9年間を通じておこなう教育プログラムです。
「教科カリキュラム」と「教科外カリキュラム」の大きく2つのカリキュラムがあります。
2-1.教科カリキュラム
国語、算数・数学、理科、社会、体育などいわゆる授業のカリキュラムです。
通常の授業の中で「思考ツール」を積極的に用いるなど、「考える力」を育む指導をしていきます。
①「基礎学力」の定着
つまずきのポイント、学習のつながりを押さえた指導をおこないます。
②「考える力(思考力・表現力)」の育成
思考スキルを身に付ける指導をおこないます。
学びの土台となる 語彙力と、論理的な思考の基礎を身に付け、「考える力」を育成します。
プログラミング教育による「論理的思考力」の育成や、語彙力の基礎を身に付ける「漢字検定」、論理的思考の基礎を身に付ける「算数検定」などを実施します。
2-2.教科外カリキュラム
将来の職業について考えたり、生活力を身に付けたり、他者との交流や行事への参加などをおこないます。
他者の存在を認めるとともに、自分を肯定的にとらえる「自己有用感・自己肯定感」を育みます。
キャリア教育
学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、次のような能力を身に付けます。
「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」
生活指導・学習指導・家庭生活
①生活指導(整理整頓・清掃・きまり・時間・挨拶・言葉遣い・思いやり・目標への熱意・忍耐力・自己肯定感)、②学習指導(話す・聞く・意欲・ノート・思考スキル)、③家庭生活(生活リズム・メディアとのかかわり・読書・家庭学習の目安・前日準備)の3つの視点で、各学園ごとにカリキュラムを作成し、生活するうえで大切な物事を学んでいきます。
行事・交流活動
「自己有用感、自己肯定感」に基づく自信を持たせる機会をつくり、肯定的に自己をとらえられるようになることをめざします。